第二部 第八章  子猫をしつけるということ

 生後2ヶ月の子猫、豆子が家にやって来て、我が家の一員になりました。
これほど小さな子猫を飼うのは、実はカッパ姉ちゃん以来なので19年ぶりです。その後我が家に来たムチャとミユキのきょうだいもキャラ子も生後4ヶ月以上たった、けっこう大きくなった猫だったのです。
それほど子猫ではないキャラ子が来た時にも驚いたのですが、とにかく子猫はよく走りよく遊びます。毎日毎日ドタバタしています。
我が家には猫が乗ってはいけない場所がいくつかあります。一つは食卓。一つはキッチンの上、もう一つはキッチンと食卓の間にあるカウンターです。
そこに乗ってはいけないというのは、今までの猫たちだと1度か2度声を荒げるだけで理解してくれました。というよりは、そこが彼らの行動する世界ではなかったように思えます。
ところが子猫は、自分が行ける範囲全てが自分の世界で、どんなに声を荒げて叱ってもなぜ叱られているのかさっぱり分からない様子でした。
実は、今現在、豆子が家に来て半年近くになるのですが、豆子は理解していません。
一度乗って、そこが通り道であると認識してしまったら、もう修正は効かないようです。何度叱ってももはや世界の一つとして確立してしまった場所に行くな、というのは無理なようでした。
そうなると、猫がそこにいると、先住の3匹にもそこは猫の立ち入ることのできる場所になってしまうのでした。今や我が家はどこでも行っていい場所になりつつあります。
しかし、それはとても危険なことです。
台所のコンロに火がついている時に乗られてしまったら、火傷を負います。特に子猫の豆子は突発的に走り出すのでそばにいても乗らないようにしてあげることができません。
そこは乗ってはいけない場所なのだと教え込まないといけないのです。
そんなわけで我が家は毎日怒鳴り声のする家になってしまいました。
しかし、今までの猫たちは何故こんなにも聞き分けのいい子たちだったのだろう、と不思議になり考えてみました。最初の3匹、チョビ、ぷーちゃん、カッパ姉ちゃんの存在がかなり大きかったのだと思い至りました。
この3匹は私やダンナと意思の疎通がかなりよくできて、してはいけないことをよく理解してくれていたように思います。
ミユキとムチャにはカッパ姉ちゃんとぷーちゃんがよく教えてくれたし、キャラ子にはカッパ姉ちゃんが教えてくれました。
そういえば、かなり大きくなったキャラ子がムチャとミユキと大きな衝突もせずに我が家の一員になれたのは、カッパ姉ちゃんが大御所として抑えてくれていたせいなのかもしれません。現に、カッパ姉ちゃんが亡くなる前まで、キャラ子はだれよりもカッパ姉ちゃんになついていました。ぴったりくっついて寝ていた姿を思い出します。
今の我が家では、大きな力をもって若い猫にルールを教えてくれる猫がいないようなのです。
もっとも、集団生活をするタイプの生き物ではない猫なので、それぞれバラバラに暮らしている今のほうがずっと猫らしいのかもしれないのですが。
そんなわけで、子猫をしつけるのは、やっぱり飼い主の責任になるのでした。根気強く教え込み、いずれ大人になって覚えてくれるんじゃないか、と期待するしかないようです。
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