第十一章  新しい仲間

白黒ブチのオス猫が欲しい。
チョビが死んで間もなく、切望に近い形で思うようになりました。
しかし、欲しいと思ってもそう簡単に出会いはあるものではありません。まず、猫雑誌を買って『もらってください』コーナーをつぶさに見ました。しかし、新潟という場所に近い情報はありませんでした。つぎに近くのショッピングセンターの掲示板に行きました。いろいろな情報を貼ってあるもので、なかにごく近いところに猫の貰い手をさがしている人がいるとの情報があったので連絡してみました。しかし、その情報は古く、もう貰い手がついていました。
季節が冬だったもので、子猫がいないのです。
最後の望みのつなとして、東京の猫のテーマパーク『ねこたま』に行ってみました。友人が近くに住んでいるので、年末に遊びがてらだったのですが、いつもならもう少しいるはずの里親をまっている猫が黒猫一匹しかいませんでした。しかも、メス。『ねこたま』の情報ファイルも見せてもらったのですが、希望する白黒ブチのオスはいません。ショップのほうにアメリカンカールの雑種で長毛の猫の兄弟がいて、内心兄弟猫がほしかった私はたいへん心が動いたのですが、なんと一匹7万円もしました。二匹で14万円。兄弟で飼うことができないとしたら、かわいそうな気もしたので、さすがにその金額は出すことができませんでした。
大人になっていてもかまわないので格安の猫が売ってはいないかと近くのペットショップも覗いてみたのですが、そんなに甘いものではありません。
かなりガックリきていた夜、しかし、ひょんな出会いはありました。
泊めてもらった友人と一緒に近くのカラオケに行ったら、なんとフロントにゴロゴロ子猫がいるではありませんか。
さすがに白黒ブチというわけにはいきませんが、母猫のそばで育って、生後4カ月という希望の条件に合った兄弟4匹です。
カラオケもそぞろにいると、友人がさっさと話をつけてくれました。
その場でダンナに兄弟で欲しいと申し出て、4匹のうちとても元気で愛嬌のある男の子と、彼と違う黒い色の女の子を貰うことにしました。すでに、もう、白黒ブチはどうでもよくなっていました。
そう考えると、『ねこたま』でポツンと一匹だけ里親を待っていたあの黒い猫がかわいそうになってしまいますが、出会いとはそんなものなのだと思います。新潟の我々がなんとしても新しい仲間を連れて帰るつもりで行った東京で、見つからずに悲しんでいたところにいきなり出現した子猫たち。神様が用意してくれた出会いと思うしかないじゃありませんか。
と、いうことで、やさしいカラオケ店の奥さんからカゴとチーズ(うちでは与えませんでしたが、彼らが大好きだったそうです)つきで子猫2匹はわたしたちの仲間になりました。
新潟に向かう電車の中で、彼らの名前を考えました。オスはすぐに決まりました。カラオケ店の最寄り駅の名前から『ムサシ』です。では、メスはどうしようかと、かなり悩みました。悩みに悩んで、黒いラッキーキャットだから、幸いと書いて、『ミユキ』に決めました。
新幹線にゆられるあいだ、奥さんが入れてくれたホッカイロが暑くて、二匹とも舌を出して暑がっていてちっょと慌てさせられましたが、あとは何もなく、順調にスズカとフジコの待つ家に着くことができました。
さて、これから、先住猫との対面です。
                 第十二章  お姉ちゃんたち、弟と妹だよ  に続く

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