第二部 第ニ章  子猫ください

 2006年2月、愛すべきのんびり屋さんのぷーちゃんが死んで、『んがお』家はカッパ姉ちゃんとミユキとムサシという3匹の猫だけになりました。
予定では、カッパ姉ちゃんが天国に召されて、年寄りがいなくなったら新しい兄弟猫をどこかからもらうつもりだったのです。
ところが、死んだのがぷーちゃんだったのがいけなかった。
彼女は私にべったりの甘えっ子の猫で、寝るときはいつも一緒でした。
2月に死んでしまって、まだ寒いのにベッドの隣にはムチャしかいません。片側がすーすーして寂しいことこの上ないのです。
また、食事をしている時に膝にのって大人しくしているのもぷーちゃんだけでした。だれもいない膝の上が寒いったらありゃしません。
何をするにつけても、何か足らないと思う毎日でした。
そして、ある時気がついてしまったのです。年寄り猫はカッパ姉ちゃんだけだと思っていたら、ミユキとムサシのきょうだいも1997年生まれということは、なんと9歳。つまり、立派な年寄りなのです。
カッパ姉ちゃんは痩せてはきているものの、まだまだ元気で食欲もあり、歯もどの猫よりも丈夫です。つまり、少なくともあと3年くらいは生きそうなのです。
となると、3年後は、ミユキとムサシはばばあとじじい。なおのこと新しい猫が来たとして馴れるのが大変になりはしないか。
そう気づいた段階で、私たちはすぐに新しい猫を仲間にするために行動していました。
血統書つきの猫はダメです。我々には購入するお金がありません。
ノラ猫もダメです。何より先住の猫たちが大切なので、何かしらの病気を持っている猫はたとえどんなに気の毒な環境にいる猫だとしても仲間にはできません。
病気のない子猫を探すのにはインターネットはとてもよい道具でした。
里親を愛護団体のページがいくつもあり、里親を求めている猫も数多いのです。そういった団体はきちんと病気の有無を調べ適切な対処をした上で里親に譲渡するようにシステムができています。
ところが、です。
動物愛護団体は、譲渡する猫が一番幸せになるためにはどうしたらいいかを考える団体なので、譲渡先を事細かに詮索する傾向があるのです。
つまり、一生大切に育てて行ける資格があるかどうかを見極めようとするのです。
小さい子供のいる家庭ではダメである、とか、賃貸住宅ではダメである、とか、条件が厳しいのです。
我が家はもちろん全ての条件をクリアしているのですが、たった一つクリアできないものがありました。
地方であること。
おかしな話ですが、里親を探している猫を取り扱っている団体の多くは首都圏であったり、大きな都市に集中しています。
そして、譲渡可能かどうかの選択の目安になるのかどうか、必ず猫を自宅まで団体の人が届けなくてはならないことになっています。自宅まで届けるとなると、例えば東京都内の団体であれば関東一円がギリギリの範囲で、我が家はその範囲からはずれてしまいます。
たったそれだけのことなのですが、こちらから引き取りに行くという形で譲渡はできない、ということであればわざわざ新潟に来てもらう交通費を払うわけにもいかないし、そこまでして首都圏の団体から猫を貰い受けるつもりにもなりませんでした。
では、新潟の団体は無いものか。
ありました。
唯一、新潟動物ネットワークという団体が猫の里親を探しているページを作っていました。
ところが、我が家の条件にあった猫がいません。
条件というのは、まずメス猫でなければならないこと。
我が家にはオスのムチャがいるのですが、こいつが縄張り意識が強く、おそらくオス猫であるとものすごく対立し合うことになるだろうと予測がつきました。
次に大人しい性格であること。抱かれ好きであること
これはぷーちゃんを失った私の穴を埋めるためです。
そして白っぽい猫であること。
ミユキとムサシが色つきの猫なので、できれば白が主流の猫であって欲しかったのです。経験上、白が多いと大人しいという感じも持っていました。
そして、生後6ヶ月から1年であること。
あまりに子猫だと留守がちな我が家では心配だし、さりとてあまりに成猫であると先住猫になれるのが大変だろうと思ったからです。
この条件が意外ときついものだったらしく、これだ、という猫はまったくいませんでした。
ただ、まだ3月くらいの話で、子猫が保護されるような季節ではなかったので、のんびり待って希望の猫が登場したらすぐに貰う手続きをしよう、とほぼ毎日ネットでチェックをしていたのでした。
ところが、1ヶ月たっても希望の猫は現れませんでした。
さすがに自分の希望が高すぎるのかと、こいつでもいいか?と思う猫がネットに登場したのが4月も後半頃。ゴールデンウィークに家をあける予定があったので、そこから戻ってもまだその猫が貰い手がなかったら縁だと思って我が家に来てもらおう、ということになったのでした。
                                    
第二部第三章 キャラ子登場 に続く
もくじに戻る
つづきへ
トップに戻る