第二部 第三章  キャラ子登場

 旅行から帰って来てもまだネット上で貰い手がないままだったら、この子を貰おう。そう決めて、5月の連休の最終日にネットの里親募集の項目を覗いてみたら、この子でいいか、と思った猫はまだ貰い手がついていませんでした。
縁か。だとしたら、迷わず連絡しよう。
この子でいいねとダンナにねんを押して、新潟動物ネットワークにメールを出したのでした。
さて、どうしてぜひこの子が欲しい、ということにならなくて、この子でいいか、という猫だったのか、ですが。
まず白っぽい猫ではなかったのです。なんと我々の選択肢から見事にはずれていた茶トラでした。それから、ちょっと年齢が1歳を過ぎたくらいで大きかったこと。あとは、ノラの出身らしいことでした。
できれば飼い猫の子供で半年くらい母猫のおっぱいを吸っていた猫がよかったのですが。
そんなことは、このさい贅沢な望みとなりました。
思えば茶トラであるというのは、我が家では初めての色つき猫。他の猫と間違えることも絶対にないし。いいんじゃないだろうか。
新潟動物ネットワークから連絡が入り、とりあえず家や先住猫との相性をみるためにお見合い期間を設けることになりました。さすがに何匹も猫を譲渡した団体なのでシステムがきっちりできあがっています。もし相性が悪ければ貰い受けなくてもよいということなのです。
猫が来るまでに色々と名まえを考えました。
我が家の猫の名前の伝統として和風な名まえにしようと思っていました。昭和の感じのする子のついた名前がいいなぁなどとさんざん考えました。
そして、決めたのが朋子。
ずっと一緒にいて欲しいのと、明るい子であって欲しいとの思いからです。
さて、いよいよ朋子が我が家に来る日です。
当日は団体の方が3人でいらして、色々とお話しました。
そのお話の間、部屋に話された茶色い猫はものおじせずにあちこち探検して回ります。探検して回って、それからいきなり自分の家ではないと気がついたのか、部屋の隅の大きな椅子の下にもぐりこんでしまいました。
団体の方々は我が家の猫の飼育状態などを見たりしてとりあえず猫についてはベテランであると安心されたようです。
それまで茶色い猫の預かり主であった方が最後に少しだけ涙ぐんで別れを告げていました。

3人が帰ってからも我が家の方針として新参猫にはかまわないというのがあるので、椅子の下に篭城させたままほおっておきました。
が、本当にものおじしない猫です。
すぐに出て来て、何かしらみつけて遊びます。
気になって仕方がないムサシが来ると慌てて椅子の下に逃げ込みます。ここは大きな成猫は入り込めないのです。しまいには追いかけっこで遊んでそこに逃げ込めば大丈夫とムサシをけしかけるようになりました。
なんだか、ものすごい根性のある猫です。ふてぶてしいというか、怖いもの知らずというか。
ネットで見た写真はちょっとキツネ顔だったのですが、ホンモノはめちゃくちゃつぶれている顔で思い切り可愛くなかったし。
でも、さわり具合はとても柔らかくて、それに、声がいいんです。
きゃらららららら。
喉をならしながら高くて細い声で鳴くので、きゃらららららら。と聞こえます。
「キャラ子だ」
朋子と決めていたのに、一発でそれを消し去ってしまいました。自分で自分の名前を名乗ったようでした。
それ以来、動物病院のカルテ上では「朋子」になっているのですが、我が家ではキャラとかキャッコラとか呼ばれています。
                                      
第二部第四章 魚アレルギーに続く
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