第8章  ついに『のっぷぴ』のお城だ

さて、じいちゃんばあちゃんのいるのんびりした生活にも慣れた頃、また『のっぷぴ』に引っ越しの話が持ち上がりました。と、いうのも、んがおRの弟が嫁さんと子供をつれて実家に戻って来ることになったのです。
最初アパートでも、と思っていたのですが、猫3匹つれてアパートというわけにもいかず、中古の一軒家を探しはじめました。しかし、間もなく、中古住宅なみの値段の新築が見つかり、即決で購入。と、いっても頭金も親に借りての、マイナスからの出発だったのですが。なにせ田舎なもので、下手な家賃よりも安い返済ですみます。なんで中古住宅より安いかといえば、交通の便がものすごく悪い田舎であるということにつきますが、幸いんがお夫婦はどちらも自動車の免許を持っています。子供もいないので、学校が遠いとかいう心配もありません。
なにより、誰きがねなく猫たちと暮らすことができるのが嬉しい限りです。
そう、つまり、んがお夫婦は猫のために一戸建を購入してしまったわけです。
東京新潟間の引っ越しとちがって、今度の引っ越しは自動車で30分少々の楽な引っ越しです。『のっぷぴ』たちに引っ越しの負担はほとんどありません。しかも、引っ越し先は自分たちの匂いの染み付いた家具がすでに運びこまれています。
本当に驚いたのですが、猫たちは、あっと言う間に新居に馴染みました。猫は家につくといいますが、室内飼いの『のっぷぴ』たちは、器である家より、そのなかの家具に安心感を覚えていたのかもしれません。
一番小心者のぷーちゃんでさえ、すっかり自分の家だとくつろぐようになりました。もしかしたら、国分寺のアパートよりも自分の家だという認識が強かったかもしれません。きっと飼い主の気持ちが伝わったのだと思います。
ところで、新築の家のため、猫の爪とぎには、かなり注意を払いました。相当数の爪研ぎをあちこちに置き、爪の研ぎやすい場所には、物を置いてガードしました。しかし、考えもしなかったのが彼らの足の爪のすごさです。階段を駆け登り、駆け降りるため、あっと言う間に床は爪痕だらけになりました。
そうなるともう、猫たちの天下です。今ではもう、ガードする気力もなく、彼らのお城は、彼らの好みの爪痕のコーディネートをされてしまったのでした。
      第9章  必ず来る悲しいこと  に続く

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